茅葺の古民家再生と薪ストーブのある家2024.8.15 この古民家は、江戸期から明治中期の建築で築120年以上。敷地には30年ほど空き家の状態で既存の古民家の傷みが激しかったので、計画当初は解体撤去し新築の計画でした…。 しかしその後、施主様のご要望により「この古民家を再生しリノベーションしよう」と言うことになりました。リノベーション計画では、新築の計画の内容から全て引き継いだ形となり、既存の梁をそのまま活かし、古民家の古き良き趣きを感じさせています。また古民家に合う薪ストーブも新設しました。 BEFORE 敷地には既存の古民家が建っていましたが、傷みが激しかったので計画当初は解体撤去し新築の計画でした。 屋根の茅は全て撤去し、断熱材や遮熱・通気層と断熱層になりました。間取りは大きく替えていますが、構造体は傷んだ部分の修繕と補強をし、茅葺きの小屋丸太組みも含め、全ての骨組みはそのまま使っています。 桁行方向に特徴的な約9mの1本丸太の長大な梁が使われていてました。棟より北側に広くなっていて、この長い梁がその広さを支えています。そのために中央は天井高は3.2mも取れて高いのですが、北側は屋根が低く梁下で1.9mと低くなっています。 AFTER 青い屋根が映える、煙突が特徴的な外観。茅葺き民家の外観の特徴はそのまま残したいと考えました。屋根は、全て葺き替えていますが、再生前の茅葺き屋根の覆いの金属部分は、金属板で葺き替えました。瓦葺部分の目立つ南西の下屋は、瓦葺きに葺き替えています。特に南面は、窓と外壁に関しても断熱サッシの修繕・新設以外はできるだけそのままにしています。これからウッドデッキ等の外構工事があります。 玄関は鉄の作家さんによる鋼製の引戸と庇が玄関の表情をつくっています。 ホールのガラス窓に古材を使った小さな飾り棚を設けてあります。 玄関の横に家族用の玄関として、靴の収納・外用の服掛・帰宅時用の手洗いを設けました。 階段の手すり・上段の鋼製階段部分は鉄の作家さんによるものです。 2階(ロフト)のトップライトの光が階段の吹抜けを通して、階段・階下の広間・洗面脱衣室に落ちるようしています。トップライトからは月光も落ち、家の中からでも月が見え風情があります。 薪ストーブの置いてある2帖の土間があります。床面より約30㎝低く木の床面に腰を掛けれるようになっています。コンクリートの土間やセメントレンガの壁は薪ストーブの蓄熱材として役立ちます。古民家に合う薪ストーブで炎の表情を楽しむことができます。 薪ストーブに隣接して建具だけで仕切られた4.5帖の畳の部屋。トイレや洗面脱衣室に近く客間としても使えます。南庭側には部屋干しもできる広縁があります。 キッチン上部の吹抜けからは、ロフトの子ども部屋のトップライト窓の光が落ちてきます。キッチンは、アイランド型オープンキッチンで、オーダメードで建具屋さんが製作してくれました。天板は特注のステンレス製で、カウンターの天板と腰壁には古材を利用しています。 アーティスティックなカウンター横のキッチンの鉄部分は、カフェ的なデザインでありながら実はボードとしてお子様の絵を貼れたり、マグネットとしても機能的です。 古い大きな梁や柱は、力強い特徴的な空間を生み出しています。天井の高い部分は3.2mもあります。 以前、床の間・仏間だった所は洋室に。壁に左官仕上げ(漆喰・土)を使っています。伊賀の土は固くとてもいい土なのでしっかりとしています。 29帖ある広間(リビング・ダイニング)は食事をしたり、くつろぐスペースです。 低めの勾配の天井は落ち着いた空間を生み出しています。壁際は、一面クローゼットになっていてキッチンとの間仕切りは、使われていた古い建具を使っています。 脱衣室も構造材(骨組み)を見せています。大き目の窓は明かりとりと換気を考えています。 浴室もゆったりとして機能性ある快適な空間になっています。 トイレの手洗いボールと構造材(骨組み)を見せていて、オシャレで落ち着いたスペースとなっています。 アクセントにもなっている新設の建具の引手です。 2Fロフトは、元は茅葺きの小屋裏で、新たに大きめのトップライト2ヶ所と吸気口と換気扇を設置しました。子ども室と書斎にしています。
家族が集う賑やかな家2024.8.1 息子さん夫婦がUターンで同居をするということで、それに合わせてリフォームを決意。家族が集う賑やかなお家になりました。 《玄関》 玄関はお客様用入口と家族用入口に分け、仕切り壁の裏に下足入れを設けることでスペースを有効活用しました。下足入れが直接お客様から見えず、プライベートな空間を守ることができました。 《LDK》 落ち着いた雰囲気のLDKの中にある赤いキッチンは、とても良いアクセントになっています。窓に格子をつけることで、目隠しになるとともに柔らかい光がリビングに入り込むようになっています。 《和室》 畳や障子を張り替えたり壁を白色の漆喰に塗り替えたりはしましたが、和室の形は昔のものをそのまま利用しています。 《トイレ》 洗面ボウルの青と上からの光の青がマッチしています。上からの光が入ってくるので、昼間は電気を付けていなくても明るい空間となっています。 《吹抜け》 《2階の和室》 2階に子どもたちがいて下から見ることができるので、安心して暮らせます。また、吹き抜けには大きな光があり、たくさんの光を取り込むことができます。 《2階の洋室》 屋根裏ということもあり、天井が斜めになっています。天井が低い部屋は圧迫感があるイメージですが、小窓がわかれてついているので光もしっかり入ります。 《セカンドリビング》 階段上がってすぐにあるスペースからは、上野城や花火が見ることができます。このソファからは遮るものが一切ないので、景色をきれいに一望できます。