こんにちは、大工の神保(じんぼ)と申します。
私はこの伊賀の地に来て、今こうしてたった一人ですが
住宅建築の会社を立ち上げました。
実は初めからそうするつもりではなかったのです。
下請けの仕事がなかなか見つからなかったんです。
今回の大不況をまともにくらった建築業界でしたが、
その大津波にもろに飲み込まれてしまったのが
末端の職人さんたちではないでしょうか。
私もその一人ですが。
元請さんから「また連絡するから。」の一言で
明日から路頭に迷う人生をずっと続けたくなかったです。
建築現場は、たとえどんなに大きな現場でもどんなに最新の
機械が入っていようとも職人の魂のこもった手仕事なくして
いいものは出来ないし、完成すらしません。
職人なくして現場は成り立ちません。
少し言わせてください。
この不況で住宅業界は建築費用の熾烈な値下げ競争
になってしまってます。
でないと「仕事がとれない」と、
元請さんの弁ですね。
仕入れ先を見直すとか、経費などの工事費用以外の
コスト削減の努力をまずすべきなのに、
めんどくさいのか
向上心がないのか、
会社に痛みのない職人の手間賃を
真っ先に”値下げ”してきます。
職人が「その手間賃じゃできねえ」
というものなら相手の
思うツボですね。
代わりは行列を作って待っているのです。
文句は言わせない、です。
職人はみんな自分の手わざを提供して、
その対価として手間賃
をいただいて生活しています。
どうか手間賃を値切らないでください。
手間賃=手わざ=職人の人生そのもの、なのです。
職人は傷ついてます。末端です。文句も言えません。
でもみんな心の中で「このやろう!」って叫んでます。
そういう悔しさ、怒りが今の自分の原動力になっていると
思います。
今までのように、ひとり大工として現場を渡り歩いて、
自分の腕だけで稼ぐ職人として生きていくのか。
ただ仕事がいつまであるか、いつ切れるか、
と言う不安を常に背負いながら、ですが。
それとも直接、お客さんとお会いして、
お客様の不満や不安または
困っていることをお聞きして、
サポートさせていただくことを
自分の人生のメインテーマとするのか。
自分の気持ちはだんだんと後者に固まってきました。
昨年の夏が過ぎる頃、
「自分のお客さんになってくれる人を探そう」
「その人のために私は自分に出来ることのすべてを出し尽くそう」
これからはそういう仕事をしよう、と決めました。
だって私が職人をやっている本当の意味は、
そこにしかないと思ったからです。
まだまだ自分は不十分であります。自分の価値をもっと
高めなければと思ってます。
「神保に頼んでよかったわ。」
この言葉を目標に、
この言葉を頂くために
前進してゆきます。