「木造住宅、モクゾウ住宅といっても
いろんな工法がありますよね。」
「ところでじんちゃんよ、アンタはどれをやんの?」
わたしが大工の修行をしていた頃は、昔から受け継がれてる
伝統的な軸組み構法で建てる仕事がいくつかありました。
私の親方は福島県出身の田舎大工でしたから、
そのやり方しか知らなかったと思います。
巷では伝統的軸組み構法を簡略化して土壁を石膏ボードに
置き換えたり、柱とハリの接合部分に補助金物を使うようになったり、
柱の太さをひと回り細くしたり、という早い安いが売りの
乾式軸組み構法(在来工法)が主流でありました。
その頃(20年近く前)あるハウスメーカーが打ち出す工業規格の
木質系パネル工法というのも出てきました。
さらにプレカット材という
『工場で継ぎ手や仕口(シグチ;木と木の接合部)が
コンピューター制御の機械で加工された柱や梁(はり)』
の登場で住宅建築は1/ 2 から 1 / 3 の工期短縮とコストの
削減に成功したのです。
これが強いて名付けるならば現代的軸組み構法でしょうか。
最後に近年台頭してきた輸入住宅の
2x4(ツーバイフォー)工法というものがありますね。
今ひとくちに木造住宅といってもこれだけの工法があります。
もう一回まとめてみます。
・伝統的軸組み構法
・木質系パネル工法
・現代的軸組み構法
・2x4工法
それぞれ長所、短所はあります。それでは
ここで4つのキーワードをあなたに投げかけてみます。
温かみ、愛
健康
地球環境
地域社会
いかがでしょうか、ちょっと思い浮かべてみてください。
あなたは日常の暮らしのなかで、それを求めたり
与えたり、深く考えたり、よりよくなる様に
行動したりしていると思います。
または特に意識してないけれど、頭の片隅ではいつも
気に掛けている、のでしょうか。
どれも当たり前なことですね、大切にしなければならないと
わかっていますよね。けれど持続して意識し、
アクションを起こすことがなかなか出来ていないことも
あるのではないでしょうか。
でもこれらはあなたやあなたの家族が暮らしていくためには
かけがえのない宝ものですよね。
当たり前のことを、ちゃんと当たり前にやっていこうと
心に決めました。
この4つが私のめざす住宅のテーマです。
温かみのある住宅=柱やハリなどの木を現わして使う
五感で木を感じれる
健康によい住宅=自然素材(木、土、紙)でできている
(化学物質を含まない)
地球環境に配慮している住宅=無垢の木を使う、
長寿命、
ごみのでない土に還る材料
地域社会の活性化に貢献している住宅
=地元の木を使う
私は大工ですからどうしても構法であるとか、
材料が気になってしまいます。しかしそれは決して高級な材料で
特別な手間を掛けた豪邸を作りたいのではありません。
むしろ4つのテーマを満たす住宅をなるべく手に入りやすい
価格帯で多くの方々に提供出来るしくみを創りたいと思ってます。
20代~40代の若い世代のみなさんに是非ほんとうの木の家の
心地よさを 知っていただきたいです。
そしてお子さんたちに伝えていただきたい。
構法にこだわるのは木の特徴、持ち味を最も引き出せる、
いちばん木のありのままの良さを表現できるのが
伝統的軸組み構法であるということです。
先人の知恵は継承されながら進化し続けています。
私も今までいろいろな構法で、住宅を建てさせていただきましたが
結局、やっぱり、
むかしながらの伝統的軸組み構法に戻ったわけです。
私だったら住まいってこんな感じがいいなあ。
素朴でシンプル、年月を経てどんどん好きになる住まい。
木の愛情に包まれた暮らし、ほんわかシアワセ感じる住まい。
無垢の木の現わしの家は、
人間といっしょで年月が経てば経つほど味というか深みがでてきます。
そうなってくると愛着がわいて大事にしようと、
少しずつ手入れをしますね。
そうやって次の世代まで住み継がれていく、
そんな住宅を一軒でも多く残せたらと思っています。